D.A.N.C.E / Justice ( 今週iPod touchで見まくる動画05 )

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昨日紹介したMute Mathと同じく、彼らのビデオもグラミー賞のBest Short Form Music Videoノミネート作品。2007年を代表する音楽映像なので、今更ですが併せて紹介。


D.A.N.C.E / Justice


楽曲としてはジャンルや細かい音楽性はさておき、「隔年現象で来るディスコ懐古チューン」で、僕らの世代だとDaft Punkの"One More Time"だったり、少し後だとJunior Seniorでしょうか。部屋の中で聴いてるだけなのに、なんとなく「昔のディスコは良かったなあ」という懐古と「俺も当時はブイブイ言わせたもんですよ」的な都合の良い回顧が出来ておじさん体が軽くなっちゃうわ系。アルバム単位で聴くと結構エッジが効いてて、ロック・ファンでも最後まで聴ける親切設計でrokin'onも安心。これのどこが新しいか、みたいな修辞はしょっちゅう変わるので、この際どうでも良い。


ちなみにamazonの商品紹介ページによると「フレンスを代表するエレクトロ・デュオ」だそうです。フレンス?


個人的に面白いなと思ったのは、ディスコ・チューンのビデオクリップ素材にTシャツをチョイスしたところ。僕にとってクラブやライブハウスの思い出って、まんまTシャツなんですよね。きっとこんなシャツは誰も持ってないぜ、と意気込んで出掛けた週末。なんだよ、あんなカッコ良いTシャツどこで売ってんだよ?と思いながら他人の服を眺めた週末。あの娘はあの時こんなシャツを着てた。あの野郎、また来てやがる、なんて。顔は暗くて良く見えないけど見覚えのあるTシャツを発見しては同じ空間を共有してる満足感に身を委ねて。そんな刹那のセンチメンタルTシャツジャーニー。これはまさしくDANCEというものの存在を射抜いてて、とても正しいです。


映像の作り手としては、こういうビデオを見ちゃうと素直に「英語」という文字が持つデザイン性に嫉妬します。この発想をそのまま漢字やひらがなでやっても、なにひとつ面白くないもんなあ。唯一日本語の書き言葉でデザイン性があるのはバリエーションが少なくて直線の多いカタカナですけど、カタカナである程度意味のある文章を連続して映像効果を生み出すのは結構難しくて、カタカナで文章が出て来る、という時点で違和感がある。じゃあカタカナはどう使うかと言われるとそれこそ「ガソバレ」「ダケオマエ」とかKanye Westの"Stronger"みたいになっちゃうわけで。あのテンションでプラカードの文字が次々変わる映像とか面白いなと思うんだけど、多分一定以上の世代にそれ見せたら学生運動を思い出したりするんでしょうしね。


なんて、日本で映像作ってる人間は必ず日本語カッコ悪い、デザイン性低いから文字と映像の組み合わせが上手く行かない、みたいな愚痴をこぼすわけですけど。実態は日本語という最高の参入障壁があるからこそ海外からセンスに溢れたクリエイターが侵入してこない、ぬるま湯産業であることを無意識に告白しているだけだったり。この話すると方向的にややこしくなって長くなるのでまた今度。