The Crusade / Trivium

最近買ったCDから。
岩国の米軍基地で育ったというエピソードを持つマット・ヒーフィー(Matt Heafy : lead vocal & guitar)率いる若手バンド、Triviumの3rdアルバム。日本盤も出てます。
今作のテーマは一言で表すなら、「川上」。
前作のビデオでは美川憲一みたいな髪型だったマットが髪を伸ばして、髪がうっとうしい時の三上博史ふうになりました。川から上へ。日本のHM/HRファンの琴線をジャストミートしそうな正統派へヴィ・メタル・サウンドでセールスも名球会入りV9達成なるか!?


Crusade

Crusade


非常にわかりやすくなったなあってのが第一印象。
2ndも買いましたが、3rdは更にシンプルなヘヴィメタに。「80年代メタル」と言われてMOTLEY CRUEやRATTを思い浮かべる向きには、正直ああいった「華やかさ」は無いのでオススメしませんが、METALLICAやTESTAMENTが好きだった人なら迷い無く買い。
さすが岩国育ち(というべきなのか)、日本のメタルファンが好む音をきちんとわかっています。アルバム・ジャケットはヨーロッパのB級メタル臭いですが、ボーカルも骨太で妙なジャーマン臭さはないので、そっち系が苦手な人でも安心。21世紀にリアルタイムで聴ける「素直なヘヴィ・メタル」としては、現時点で最高クオリティ群の中の1枚であることは間違いありません。


多分この人たちって最初はメロデスが好きってところからスタートしてると思うんですよ。で、IN FLAMESARCH ENEMYみたいな音を出したいと思ってバンドをはじめる。地元アメリカでレコードを出すために多少メロデス臭を抜いて、メタルコアっぽくニュースクールっぽくと段々エッセンスを足していって、3枚目でそろそろ慣れてきて楽曲をシンプルに、と。
あれこれ試行錯誤して足し算引き算した結果、気がついたらヘヴィメタど真ん中に着地しちゃった。
そんな「忘年会の場所をさんざん皆で討論した結果、和民にたどりついた」ふうのベタさが、80年代から延々とメタルを聴いてきた人にもきっと愛おしく感じられるはず。


2003年あたりから次々と出てきたKILLSWITCH ENGAGEUNEARTH, LAMB OF GOD, GOD FORBIDなど新世代の古典派メタル(コア)バンド群がこれからどの方向へ行くのか。どのバンドを「頭ひとつ抜けている」と感じるかで、あなたの嗜好がわかる。面白い回帰ブームがやってきました。