Typical / Mute Math ( 今週iPod touchで見まくる動画04 )

ミュートマス

ミュートマス

日本盤が出たら紹介しようと思っていたMute Mathですが、知らん間に日本盤出てました。カタカナ表記の『ミュートマス』だったからamazon.co.jpで検索に引っかからなくて気付かなかった。ミュートマスて。テレビ神奈川か。


ごちゃごちゃ書く前にまずは彼らの人気に火をつけるキッカケとなった映像、"Typical"のPVを見てもらいましょう。


Typical / Mute Math

見始めてすぐ気が付くように、この映像、逆再生なんですね。これ自体はありがちな手法で、大して面白くも無いし、曲もシンプルで一瞬「あ、こういうことね」と映像全体を把握したような気になってしまうんですが、凄いのはここからで。逆再生なのにボーカルの口の動きやらドラムのタイミングがやたら曲と合ってるわけです。実際に逆再生映像を見たり編集してみるとわかるけど、これは結構凄いこと。相当事前にタイミング合わせないと、こんなふうには撮れない。なにも考えずに暴れまくってるライブ映像を逆再生しているかと思いきや、実は大掛かりな映像。


そして「どうなってんの?」と思いながらボーカルやドラムの映像と曲のリズムとのタイミングを計っているうちに、このシンプルなのに緻密な映像と共に、ちょっとニューウェイブっぽいギターとスティング似の声がバシバシ耳に飛び込んできて、あれ、シンプルだけど結構良い曲じゃない?と思い始め、映像が終わる頃には「良い曲だな。良いビデオだな。もう一度見たい」となる。実に効果的な映像アプローチです。
以前OK GOを紹介した際にも言及しましたが、最近はどうもこうした「シンプルだけど飽きない」タイプのポップな楽曲と「アイデア一発型でシンプルだけど実はディテールが凝ってる」映像の組み合わせがYou Tubeなどで話題を呼んでブレイクするケースが多いみたいです。"Typical"のPVは今年のグラミーでもBest Short Form Music Videoにノミネート。昨年のOK GOとまんま同じパターン。


まあ、細かく見て行くとちょっとあざといなと思う部分もあって。ほぼ一発撮りなのに冒頭でわざわざボーカルの抜きショットを挟んでいるのは「ほら、逆再生なのに完全に映像と音がシンクロしてるだろ?すごくね?」という保険をかけた分かり易さ以外のなにものでも無くて、余計だなあと思うし、下で紹介している他の映像でも「もうちょっと粗く人型を切り取ってくれたほうが味が出るのになあ」と難癖をつけてみたり。でも普段やれナントカエフェクトだ3Dだと映像に余計なおまけを付けては見積の項目を増やして日銭を稼いでる産業ムービー野郎な私としては、やはりたまにこうした「発想の勝利」という映像を見ると、なんだか和んだり悔しかったりで明日を見る気持ちになれるのでした。


Paper Darren / Mute Math

しかしこの人たち、ニューオリンズ出身なんですね。なんかニューオリンズのイメージ狂う。