今夜も常夜鍋

先日の日記は自分の中で「料理について語る渋い男はこうゆう文体じゃないと」という貧困なイメージをなぞって書いてみたんだけど、全然雰囲気が出ないのね。切ないからもう普通に戻す。北方謙三ふうの白髪でムダに渋いおっさんが蘊蓄を語るイメージだったんだけど。もっとハードボイルドに生まれたかった。


で、引き続き料理の話。


実家が京都で日本酒の蔵元を営んでいる関係で、毎年冬になると家業を継がなかった親不孝息子である我が父の手元にも、プールを満たせそうな量の日本酒と積み上げて家でも建てられそうな量の酒粕が送られてきます。僕は毎年ほんの一部をお裾分けで自宅に持ち帰るだけなのですが、それでも浴槽から溢れ出すぐらいの日本酒と敷き詰めれば10畳はありそうな酒粕が手に入ります。


普通に飲んでもつまらないので、この季節良く日本酒を使って料理をします。お薦めなのは常夜鍋。日本酒を使ったお鍋です。


Wikipediaで「常夜鍋」の項目を見る限り、正式には「水を張った鍋に昆布を敷き、日本酒を入れた出汁に、豚肉、ホウレンソウ、白菜を入れて煮込む」らしいのですが、うちは日本酒が余っているので水を使わずに清酒だけで煮込みます。
もちろん大吟醸を使うようなバカはしませんが、それでも相当美味い。お酒だけで煮るのはちょっと...という場合でも、最低水とお酒が半々は欲しいところです。これ以下だと正直酒入れる意味がない気がしますね。


常夜鍋としては邪道だけど、個人的には豚肉より鶏肉や鰆(さわら)と相性が良いように思います。新鮮な鰆に塩を振って少し身を締めたものを常夜鍋に入れるの。きっと今まで味わったことのない鰆との出会いがあるんじゃないかと。お酒が苦手な人は(って、そんな人にはこの鍋は薦めませんけど)あらかじめお酒を煮切っておくと少しマイルドになりますよ。風味は充分残るので。


「家に日本酒が沢山あるけどそんなに飲まないしなあ」という人がいたら、ぜひ試してみてください。文字通り「毎晩食べても飽きない」鍋です。最近更新が滞っているのは、おそらく毎日のようにスミコワさんが「常夜鍋+オーブントースターで焼いた酒粕」を肴に日本酒を飲んだくれてはパソコンの電源も入れずに寝ているためです。ごめんなさい。