The World I Know & Shine / Collective Soul

1994-01-7even Year Itch-Collection

1994-01-7even Year Itch-Collection

気がついたら全く更新しない間に誕生日が来て30歳になってしまいました。mixiやメールなど色んなツールを通じてお祝いのメッセージをくれた皆さん、ありがとうございました。ご無沙汰してごめんなさい。


節目の年を迎えるにあたってプライベートでも色々と心構えをしてみたり、自分へのお祝いに時計を買ったりしましたが、それは別にわざわざブログで書くほどの事でも無いので省略するとして、今回の誕生日は「29歳最後の夜に何を聴いて、そして30歳になった瞬間に何を聴くか」という非常に些細な音楽のチョイスにこだわってみました。グランジに始まって、早10数年。Billboardのチャートを横目で眺めながらUSロックを追いかけてきた身として、もうロックだロックだと騒いでもいられない大人の階段への最終章とその第一歩に何を選ぶべきか。


僕の青春はそのまんま90年代ロックでしたけど、ここでNIRVANAPEARL JAMってのも定番過ぎて、もう手垢がついてる。R.E.M.はあざとすぎる。単独で一番好きなバンドはU2だけど、これまで人生の節目節目に彼らの曲を聴いてきたし、なんというか、もっとバンドのイメージが透明で自分が浮き上がってくるような曲を聴きつつ、静かにその瞬間を迎えたい、と思って。


そこで選んだのがCollectove Soulの"The World I Know"と"Shine"でした。


The World I Know / Collective Soul


Shine / Collective Soul


エド・ローランドを中心としたジョージア出身の5人組ロックバンド、Collective Soulは93年に自分たちでラジオ局に送りつけた"Shine"が爆発的なヒット。一気にインディーズからメジャーへと駆け上がり、最終的にデビュー作を300万枚以上売り上げた90年代USロックを代表するバンドです。デビュー以来一貫して非常にシンプルかつ骨太なアメリカン・ロックを鳴らし続けていて、なぜか日本では全く人気も評価も冴えないのですが、個人的にはすごく好きな人たちで。中でも彼らのキャリアを代表する2曲がこの"The World I Know( 2nd収録 )"と"Shine( 1st収録 )"。


漠然とですが、10代ってのは自分を取り巻く世界とは一体どんなところなのかを知る為の時間、20代ってのはその自分が知った世界と自分との折り合いをつける為の時間、だと思って過ごしてきました。特にこの3年は闇雲に走り続けて。自分の仕事はこれだ、自分はこうあるべきだ、自分はこちらへ進むべきだ、と。そのひとつひとつが間違っていたとは決して思いませんし、20代の自分を振り返ると誇らしい気持ちに包まれる。だけど一方で、10代の頃に壊れかけのラジカセを抱え込むようにして聴いていた曲を、ソファーに腰掛けてリビングを覆い尽くすようなコンポで聴いていたり、昔は「これ歌ってるの誰だよ?今DJはなんて言った?英語聞き取れねえ!」とか大騒ぎしながらレコード屋を巡って少ない財布と相談しながら買っていた音楽を、Amazon大人買いして挙句はバンドのDVDまで気軽に買っては大画面のプラズマテレビで見ちゃうような。そんな自分の世界をどこか不思議な高みに立って見下ろすような毎日に、このまま年を重ねていくことに対する不安を感じることもあるわけで。何かを無くしてしまう、というのではなく、何も無くさないで進んでいっちゃう不安。

So I walk up on high
And I step to the edge
To see my world below.
And I laugh at myself
As the years roll down.
cause its the world I know.
Its the world I know.


そんな日常に、"The World I Know"の歌詞が優しく響きます。そして30歳になった瞬間に、クローゼットの奥から古ぼけたラジカセを引っ張り出してきて、少しかすれた音で久しぶりに聴いた"Shine"。

Give me a word
Give me a sign
Show me where to look
Tell me what will I find
Lay me on the ground
Fly me in the sky
Show me where to look
Tell me what will I find
Oh, heaven let your light shine down


Love is in the water
Love is in the air
Show me where to go
Tell me will love be there
Teach me how to speak
Teach me how to share
Teach me where to go
Tell me will love be there
Oh, heaven let your light shine down


多分ホントは「30歳」なんて節目の年を迎えたら「もう大人」「若いなんて言い訳が通用しなくなる」とか、普通は「しっかりしなきゃ」という方向に気を引き締めるんだろうけど。すこし早めに心の年齢を重ねてしまって老け込みそうな僕は、もう一度初心に戻って、こんな命令形ばっかりのお願いお願いを繰り返す歌を聴きながら、もっと素直に、自分が勝手に線を引いていた自分と世界の枠組を壊してあがいてみようかと思います。


これといった特徴も音楽の歴史に残る奇抜な試みも無い、すごくシンプルで飾りっ気のないロックですけど、やっぱり久しぶりに聴く"Shine"は良かった。音楽に素敵な隙間があって。昔は物足りなく感じることもあったこのゆるさが今は心地良い。仕事に疲れて帰ってきた夜に聴くと、穏やかだけど、前向きな気持ちに包まれます。30代は隙間を楽しめる大人になりたいですね。ええっと、例えば日記の更新間隔とか。


今後ともよろしくお願いします。